Lampalizumab(ランパリズマブ)

昨日は様々な水晶体再建術単焦点レンズ三焦点レンズ脱臼IOL摘出毛様溝固定術)を施行。そして夜は毎年恒例の筑波大眼科教官(准教授もしくは講師)の懇親会に出席しました。レジデントと異なり、教官スタッフは臨床・研究・教育とかなりのストレスが負荷されます。その職に就いたものにしかわからない労をねぎらい、情報交換を行う事が主目的の懇親会です。今回も公では話す事が出来ない話題で盛り上がり、非常に有意義な時間を過ごせました。

本日は萎縮型加齢黄斑変性(dry AMD)の治療について。
加齢黄斑変性の患者数は全世界で推定1億3,500万人(2014年)とされ、米国では50歳以上の人の失明原因のトップです。日本でも急速な高齢化や生活様式の変化などのため、この病気に伴う視力障害者が急増しています。加齢黄斑変性の約90%を占めるドライ型は、病気が進行すると黄斑網膜が加齢とともに萎縮(地図状萎縮)してくるものです。萎縮の進行は遅く、ゆっくりと視力が低下していくのが特徴です。地図状萎縮は時間が経過するほど病変部が拡大していくため、その進行をいかに早期に抑制できるかが鍵となります。現時点で「萎縮型」に対する有用な治療法はありませんが、米国ではいくつかの薬剤の開発が進行中です。ここではFDAに承認されそうな薬剤について。

それはLampalizumab(ランパリズマブ)という抗補体因子D抗体フラグメントで、世界最大手のロシュ社が開発しています。下記抗VEGF薬と同様な硝子体注入薬で、海外臨床試験では18ヶ月で地図状萎縮病変進行を20%抑制する効果が確認されています。

滲出型に地図状萎縮を伴う症例も散見されるため、抗VEGF薬や抗PDGF薬との併用療法なども検討されることになるでしょう。治療の選択肢が増えることは非常に喜ばしい限りであり、数年後を目処に双方の薬剤とも国内認可されることを期待したいですね。

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