新年早々、先週金曜はtoric ICLを用いた近視矯正手術〜水晶体再建術。
本日は自院にて硝子体茎離断術(増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(トーリックを含む)。
うち2例は遠方の紹介元にそのまま逆紹介。これぞ理想的な病診連携だと思います。
2015年のレーシック・ICLの国内成績についての続編です(主なデータのみ抜粋)。
権威あるAJOにて公表されることにより、確固たるエビデンスをもって、本邦における現在の屈折矯正手術の術後成績が非常に優秀であることが明らかとなりました。
A Multicenter Prospective Cohort Study on Refractive Surgery in 15011 Eyes.
Kazutaka Kamiya, MD, PhD, Akihito Igarashi, MD, PhD, Ken Hayashi, MD, PhD, Kazuno Negishi, MD, PhD, Masaki Sato, MD, PhD, Hiroko Bissen-Miyajima, MD, PhD on behalf of the Survey Working Group of the Japanese Society of Cataract and Refractive Surgery.
Am J Ophthalmol 2017;175:159–168.
<術式の内訳>
Conventional LASIK(68%)、wavefront-guidedLASIK(9%)、ICL(9%)、ReLEX(6%)、topography-guided LASIK(5%)、その他(3%)
つまり、82%がLASIK!
<術後視力>(以下、術後3ヵ月)
レーシック術後裸眼視力: 1.41
レーシック術後裸眼視力: 1.51
ICL術後裸眼視力: 1.41
ICL術後裸眼視力: 1.62
<精度>
術後裸眼視力の向上率:
LASIK(94%)、ICL(94%)、ReLEX(90%)
術後屈折度の予測性能(±1.0D以内の屈折誤差):
LASIK(96%)、ICL(99%)、ReLEX(97%)
<追加手術>
LASIK:
追加矯正手術(0.46%)、フラップ洗浄(0.79%)
ICL:
追加矯正手術(0.44%)、摘出・交換(1.46%)
<術後合併症>
LASIK:
感染症(0%)、グレア・ハロー(0.38%)、ドライアイ(1.73%)、フラップ皺(0.22%)、DLK(diffuse lamellar keratitis:0.43%)、偏心照射(0.007%)、ケラテクタジア(0%)
ICL:
感染症(0%)、グレア・ハロー(1.46%)、虹彩色素散布(0.88%)、一過性眼圧上昇(0.58%)、白内障(0%)、角膜内皮減少(0%)、緑内障(0%)、網膜剥離(0%)
以上が現在の本邦の屈折矯正手術の術後成績です。
不徳な医療機関はすでに排除されていると考えられ、それ故に非常に良好な術後成績となっているのだと考察します。ちなみに、白内障手術での感染症発生割合は約3,000〜4,000件に1件(0.02〜0.03%)程度です。
屈折矯正手術は、年齢・角膜厚・前房深度などにより、近視・乱視・遠視のすべての患者さんが対象となるわけではありません。手術に対し少しでも不安があれば、納得するまで執刀医から直接しっかりと説明を受けましょう。
屈折矯正手術に限ったことではありませんが、執刀医と信頼関係を構築できれば、安心して手術を受けられることは勿論のこと、必ずや「手術を受けて良かった!」と思えるはずです。