早くも師走。
年末の駆け込み症例もあり、今週と来週とで6件の硝子体手術が予定されています。
忙しくなりそうですが、頑張ります!
硝子体手術では眼球に3つの孔を作成する必要があります。1999年に私が初めて硝子体手術を執刀した頃は、結膜を切開して、20G (ゲージ)の孔(0.9mm)を作成する手法しかありませんでした。
2002年に、結膜を切開せずそのまま孔を作成する25G小切開硝子体手術(0.5mm)(MIVS : micro incision vitrectomy surgery)が発表されましたが、手術効率にやや難があり、切除効率を改善した23G MIVS(0.65mm)が2005年に発表されました。
その後、25Gの眼内照明・切除効率・器具の剛性などが格段に改善され、25G経結膜硝子体手術が一般的となっています。
さらに小切開化の研究が進み、2010年に待望の27G MIVS(0.4mm)が正式に発表され、その後一部のメーカーで製品化されましたが、やはり剛性にやや難があり、一般化には至りませんでした。
そして今秋、アルコン社から様々な問題を克服した27G MIVSが発売されました。硝子体カッターの回転数は、20G:1500cpm (サイクル毎分)→ 25G:5000cpm → 27G:7500cpmと手術効率も格段にアップし、実際に使用してみても「完璧」な印象を受けます。
つまり、手術効率UPに伴う手術時間の短縮・術後炎症の軽減・術後感染の予防など、いずれも患者さんの負担軽減に著しく貢献するものです。よって近年では、MIVSを低侵襲硝子体手術(minimally invasive vitrectomy surgery)の略と解釈することもあります。
現状では、製品化技術・必要性ともに27Gが限界とされています。しかし技術革新がさらに進めば、近未来には30G超低侵襲硝子体手術も夢ではないかもしれません。
30G MIVSの実現の前に、pharmacovitrectomyが台頭すると思いますが、そちらに関しては後日詳細を書きたいと思います。