先週は,ICL近視矯正手術(LASIK後)〜硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点・LASIK後を含む)〜前後転術(外斜視)×2。
今週は,ICL近視矯正手術×4〜レーシック×4〜PTK(顆粒状角膜変性)〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点を含む)〜眼瞼下垂手術×4。
皆さん経過良好です。
本日は Vuity について。
Vuity は,2021年10月にFDAに認可された,老視(老眼)治療として初めての点眼薬です。新たに開発された最新の薬剤….ではなくピロカルピン点眼薬(1.25%)なので,非常に歴史のある縮瞳薬です。認可当初は1日1回の点眼回数でしたが,効果は12時間未満。重篤な副作用のないことが確認され,1日2回の点眼回数がつい先日認可され,理論上はこれで効果が終日継続することになります。軽い副作用として近視化と暗黒感が挙げられますが,いずれも一過性で心配ありません。
ピロカルピンは副交感神経刺激薬,一方でアトロピンは副交感神経遮断薬。いずれも非常に単純な薬理作用で,とても歴史のある薬剤です。
眼科領域におけるアトロピン点眼は,古くは弱視に対するpenalizationとして使用され,最近では近視進行抑制効果が周知されています。
一方,ピロカルピン点眼は,縮瞳(ピンホール効果)と水晶体厚の増加(調節力の増強)にて焦点深度が増す,つまり老眼が少し改善するわけです。
この古くて新しい?老視点眼治療が国際的にどの程度受け入れられるか,非常に興味深いですね。