先々週は,ICL近視矯正手術〜硝子体茎離断術(ERM)〜水晶体再建術(両眼同日を含む)。
先週は,レーシック〜水晶体再建術(両眼同日・多焦点トーリックを含む)〜睫毛内反手術(埋没法)。
今週は,ICL近視矯正手術×4〜水晶体再建術(両眼同日・多焦点を含む)〜翼状片切除術×2〜出張手術。
今月末の学会での講演に向け,只今スライド作成の真っ只中…….その一部をご紹介!
まずは,世界全体・日本・中国・韓国・米国における,屈折矯正手術全体におけるICLの占有率。
2018年は,いずれの地域においてもICLのシェア率は10%未満。
2023年は,世界全体で年間およそ410万件の屈折矯正手術が行われています。ICLのシェア率は世界全体では15%に増加し,日本ではなんとシェア73%と尋常ではない伸びを示しています。しかし逆を言えば,世界全体では85%(米国においては98%)がLASIK・SMILE・RLEなどICL以外の手術です!
日本では2013年に都内の1施設で術後感染性角膜炎のoutbreakが報告され,消費者庁から注意喚起がなされ、以降エキシマレーザー屈折矯正手術件数は大幅に減少しました。さらに日本人特有の保守的思考も少なからず関与しているとされ,いずれにせよ諸外国とは異なった非常に特殊な状況にあることは間違いありません。
続いて,ICLの地域別販売実績(どの地域で多く用いられているのか)。
なんと8割がAPAC(アジア太平洋地域),さらにAPACでの7割が中国(日本は14%),世界全体でみると単純計算で過半数が中国!
中国ではSMILEの増加も顕著ですが,人口からこのような統計になるようです。
ICL™(Implantable Collamer Lens)は、数種類あるフェイキックIOLのなかの1つで、STAAR Surgical社が商標登録を持つ製品名です。紛らわしくも同じくICL(ICL™と異なりImplantable Contact Lensの略)と称しながら,実は異なる素材のレンズを挿入されている例も実在するため,注意が必要です(私自身,他院での偽ICL手術後に白内障を併発し,当院でレンズ抜去および白内障手術を行った症例を経験しています)。
角膜屈折矯正手術(レーシック・SMILE)・有水晶体眼内レンズ(ICL)は,それぞれ利点・欠点があり,もしも偏った意見で一つの術式のみを勧められたとしたらそれは大きな誤りです。
いずれにせよ,日本の屈折矯正手術の傾向は世界と全く異なるという事実は周知されるべきでしょう。