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昨日は東京国際フォーラムにて開催された眼科手術学会総会へ出席。
興味を持ったシンポジウム「甲状腺眼症に対する外科的治療戦略」について。
バセドウ病など甲状腺疾患に伴う眼症の診断は比較的容易ですが、実際の治療は容易ではありません。一般にはステロイドの全身投与となりますが、全身副作用・再発率ともに高いため、中等度以上の有症状者は(大学病院ではなく)最初から眼窩形成専門病院へ紹介するのが定石ですが…

・上眼瞼後退:ステロイド局所投与は副作用もほとんどなく非常に有用。無効例にはボトックスが有効な場合もあり。それでもダメなら眼瞼挙筋延長術となるが、手術症例数は劇的に減少。
⇒これは簡単にできるので、まずはトライする価値あり!
・眼球突出:眼窩脂肪吸引や眼窩骨削骨などの眼窩減圧術が有用。ただし術後複視や脳脊髄液漏出に注意が必要。
⇒これは局所麻酔では無理….従来通り専門病院にお願いするしかないですね…。
・眼球運動障害による複視:下直筋の肥厚に伴う上転障害がほとんどであり、下直筋の4mm後転術で複視はほぼ解消される。
⇒なぜ4mmと決めてしまっていいのか不明ですが、ほぼこれで問題ないとのこと。これも局所麻酔で簡単にできるので、トライする価値あり!

甲状腺眼症は内科・脳神経外科・形成外科との境界領域であり、決して悪い意味ではありませんが、重箱の隅をつつくような分野です。これを志すDrは、眼科の中でも専門性が殊更高く、尊敬に値します。先見の明を持ちつつ他に惑わされない強い自己認識、とても重要だと感じました。

その他興味を持ったシンポジウムは「戦場の眼科学」。
米軍では2000年から屈折矯正手術を導入し、既に55万人以上の隊員が手術を受けている。多くがLASIK(レーシック)だが、最近ではICLも増加傾向にあるとのこと。
⇒戦場はもとより大災害でも屈折矯正手術の有用性は指摘されており、東日本大震災後はレーシック手術件数が一時増加しました。その時その場で体験しないと実感はわかないかもしれませんが、想像は容易いと思います。

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