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第35回JSCRS学術総会(シンポジウム講演)

本年6/19〜6/21に開催される第35回JSCRS学術総会にて,シンポジウム「周術期抗菌薬適正使用とAMRアクションプラン」および 特別報告「2020 JSCRS Clinical Survey」の依頼講演を行います。

「白内障周術期抗菌薬使用の現状」
(Current antibiotic prophylaxis for cataract surgery in Japan)
2013年のAMRAntimicrobial Resistance)に起因する死亡者数は,全世界で少なくとも70万人あまり。今後何も対策を講じなければ,2050年の同死亡者数は1,000万人となり,癌を超えて死因の第1位になると予想されています。
薬剤耐性AMR対策アクションプラン2016-2020には,対2013年比で,抗菌薬の使用を全体で33%減,経口セフェム・キノロン・マクロライド系を50%減,静注抗菌薬を20%減という成果指標があり,眼科手術のなかでも年間160万件強の白内障手術の周術期管理の現状を知ることは非常に意義があります。
JSCRS年次surveyによる抗菌薬の術前点眼開始日・術後点眼期間・術後内服期間・術後静脈内投与期間・術終了時前房内灌流,さらにはヨード製剤などのデータ推移および各種クロス集計の結果から,一部海外と比較しつつ,国内における白内障周術期抗菌薬使用の現状を解説する予定です。


特別報告「2020 JSCRS Clinical Survey」
本学会会員を対象とした第28回アンケート調査を行い,得られた結果をクロス集計し,本邦での眼内レンズ・屈折矯正手術における最近1年間の動向・変遷について,過去のsurveyおよびASCRS/ESCRS surveyと比較した結果を報告する予定です。

とまあ,講演の予定ではありますが….
新型コロナの影響により,眼科に限らず多くの学会が中止もしくはweb開催となっています。
状況次第では,JSCRS年次総会もそのような事態となる可能性も…。

日本国内は勿論のこと,アフリカでのコロナ蔓延はとても怖いですね。
エボラの際には,先進国が自国の国益のために積極的な協力を惜しみませんでした。
しかし今回は経路が真逆であり,どこも自国内の対応で手一杯でしょうから,他国への援助は容易ではないでしょう。

ウイルスも細菌も薬剤耐性は本当に恐ろしい…..世界中を巡り巡って変異コロナが再来日…なんて可能性も完全否定はできません。
1日でも早く終息に向かうことを祈るばかりです。

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DURYSTA(ビマトプロスト持続放出注射剤)

先週は,水晶体再建術(3焦点が90%)〜出張手術(鉾田病院)。
今週は,水晶体再建術(3焦点が80%,両眼同日3例を含む)〜出張手術(笠間眼科)。
皆さん経過良好です。

今月上旬,DURYSTAbimatoprost implant:プロスタマイド誘導体ビマトプロスト持続放出注射剤:Allergan社)が米国FDAに承認されました。

・ビマトプロスト(ルミガン点眼薬の主成分)の持続放出注射剤を前房中に投与。
・Implantは前房の最下部に自然落下し,約1年で徐々に自然吸収。
・開放隅角緑内障や高眼圧症において,0.5%チモロール1日2回点眼と同等の有効性と安全性。
・最低でも12週間以上にわたり,ベースライン眼圧から約30%の眼圧下降効果を持続。

点眼薬に優る効果があるわけではありませんが,アドヒアランス不良例には非常に有用ですね。
数年先かもしれませんが,本邦でも承認される日が来ることは間違いないと思います。

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Beovu™(ベオビュ・brolucizumab)

今週は,レーシックエクスプレス挿入術(開放隅角緑内障)〜水晶体再建術(両眼同日・3焦点を含む)〜出張手術(二の宮眼科)。
皆さん経過良好です。

2017年にご紹介した brolucizumab(ブロルシズマブ:滲出型加齢黄斑変性に対する新たな抗VEGF治療薬)が,商品名Beovuベオビュノバルティス社)として,昨年10月に米国,本年2月には欧州そして本邦にて,それぞれ承認されました。

以前ご紹介したとおり,導入期直後から3ヵ月間隔投与の選択肢を提供できる唯一の治療薬であり,2ヵ月毎投与のアイリーアに比べて滲出液貯留による中心窩網膜厚が有意に減少するとのこと。
薬価は未収載。早く使用できることを期待したいですね。

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選定療養(多焦点眼内レンズ)

今週は,レーシックPTK(顆粒状角膜変性)〜硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術(両眼同日・3焦点・EDOF・LASIK後を含む)〜翼状片切除術。
皆さん経過良好です。

先進医療特約に加入している患者さんの駆け込み手術が増加しているため,今月中旬〜下旬において,当院の白内障手術のうち多焦点IOLの占める割合は約9割
COVID-19への対応で厚労省はてんてこ舞いなのでしょう。4月の診療報酬改訂に関する説明は概略のみでしたが,昨日やっと詳細が判明。多焦点IOL手術が先進医療から外れた後は,選定療養として保険診療が一部適応になることが正式に公表されました。
選定療養とは,例えば病院個室へ入院する際の差額。入院費用の基本部分は保険診療で,大部屋と個室との差額のみ自費となるわけです。医師会が猛反対する混合診療との線引きが問題となりますが,多焦点IOLの差額が選定療養として厚労省に認められたわけです。

多焦点IOL手術費用は,3月末までは完全自費(先進医療特約でのカバー可)ですが,4月以降は手術の基本部分(保険診療)および単焦点IOLとの差額(自費)。 IOLの種類によっても異なりますが,差額はおよそ15〜25万位と予想されます。
患者さんの実質的な総支払額は現状よりかなり下がるため,4月以降の多焦点IOL手術件数はさらに増加するものと推察されます。

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