投稿者「satoublogadmin」のアーカイブ

追加型三焦点眼内レンズ(trifocal supplementary IOL)

先週は,水晶体再建術(両眼同日・EDOFを含む)〜出張手術。
今週は,ICL近視矯正手術水晶体再建術(EDOFトーリックを含む)〜翼状片切除術〜出張手術(鉾田病院)
皆さん経過良好です!

本日は,追加型3焦点眼内レンズSulcoflex trifocal supplementary IOL;Rayner社)について。

白内障手術の際に多焦点IOLを選択する方が増加しています。では,既に単焦点IOLで手術を受けた方が老視矯正の追加手術を希望された場合,単焦点から多焦点IOLへの交換する追加手術が必要?
理論上は可能ですが,初回手術から時間が経過してからのIOL交換手術は必ずしも容易ではなく,術後予想屈折値と誤差が生じることも少なくありません。
よって,既に単焦点IOLが入っている方には,老視矯正専用レンズを追加挿入(piggyback)する方法が推奨されます。ドイツでは20年以上前から専用のIOL(AddOn レンズ)が販売されており,国内でも個人輸入にて使用されています。Addon(アドオン)IOL以外にも数種類ありますが,いずれも二焦点機能です。

昨年,1949年に世界で初めてIOLを製造したRayner社(イギリス)から世界初の三焦点追加眼内レンズであるSulcoflex supplementary IOLが登場し,高い注目を集めています。
患者満足度は高く,術後成績は非常に良好と報告されています。本邦では未承認なので保険適応はありませんが,個人輸入にて当院でも使用を開始したのでご報告いたします!

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単純糖尿病網膜症に対するアイリーアの適応拡大

先々週:硝子体茎離断術(RRD)〜緑内障濾過手術(PEG)〜水晶体再建術(IOL脱臼を含む)〜眼窩腫瘍摘出術(浅在性)〜前後転術(外斜視)〜出張手術(二の宮眼科)
先週:レーシックPTK(帯状角膜変性・アベリノ角膜変性)〜水晶体再建術(EDOF・toricを含むを含む)〜出張手術(笠間眼科)
今週:緑内障インプラント挿入術(PEG・POAG)〜水晶体再建術(EDOFトーリックを含む)〜出張手術(鉾田病院)
皆さん経過良好です!

只今,「股関節治療と職場復帰について」と題しての医師会研修会にて,重要な部分のみ聞き耳を立てつつ内職中…。

本日はアイリーア(Eylea:aflibercept)の適応拡大について。
アイリーアやルセンティスなどの抗VEGF薬は,糖尿病黄斑浮腫(DME)・網膜静脈閉塞症(RVO)での黄斑浮腫・滲出型加齢黄斑変性(AMD)・近視性中心窩脈絡膜新生血管など,中心窩病変を伴う疾病に対して保険診療が認められています。
なかでも頻度の高いDMEは,糖尿病網膜症(DR)が単純性(SDR)から増殖性(PDR)に移行した後・あるいは移行しつつある時に併発することがあります。
米国内の臨床試験にてSDRに対するアイリーアの有用性が証明され,SDRからPDRまで全段階のDRに対するアイリーア硝子体注入が,FDAにて本年5月に承認されました。

DRには汎網膜レーザー光凝固(PRP),DMEには抗VEGF薬,これが基本です。
PRPはSDRからPDRに移行する前増殖性(prePDR)以降において開始され,費用は片眼で約16万円(3割の被保険者なら約5万円の自己負担)ですが,施設を変えない限り支払は通常1回限りです。
アイリーア注入費用は片眼1回で約16万円(ほとんどが薬品代)とほぼ同額ですが,何度も繰り返すことが必須となります。

アイリーアに限らず抗VEGF薬がSDRにも有用であることはその性質上至極当然。
間隔を空けつつも継続投与は必須であり,その費用をどこから捻出するのか…。
米国と異なり,国民皆保険の本邦では税金が投入されることとなります。

抗VEGF薬の薬価は発売当初と比較するとやや減額となっているものの,まだまだ高額です。施行件数も右肩上がりに増加し,保険診療財政を圧迫しています。
早期から抗VEGF薬を開始しPDRへの移行を減らすことにより,結果として総医療費を抑えられれば素晴らしいのですが…..ちょっと現実的ではありません。
本邦もFDAにならって適応拡大となるのでしょうか…?

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JSCRS2019

第34回JSCRS学術総会出席のため、先月に引き続き今月も京都へ。

27(木):午前外来・午後学校健診・所用にて横須賀→新横浜経由で京都へ。
28(金):朝7:30〜会議、午後は特別報告の講演。
29(土):昼にランチョンセミナー講演。

本学会の主な内容。
◆ IOL度数計算式としてBarrett Universal Ⅱ式の人気が急上昇。
◆ LASIKなどのsurface ablation後のIOL度数計算式としてBarrett True K式の人気が急上昇。
◆ 術後眼内炎予防:
眼科は、術前後の感染症対策ガイドラインがない唯一の科。
眼球内が特殊な環境であるとはいえ、ガイドライン作成は必要!
・抗菌薬前房内注入:
行う術者と行わない術者で二分。
モキシフロキサシンを用いてのFlash法→数万件の白内障手術にて術後眼内炎は0%
・ AMR対策:
ヨード、そしてヨード、さらにヨード。数秒から数十秒であらゆる菌を死滅させ、耐性も心配なし。適応外使用であるが、灌流液に最初から注入する手法が有用との報告もあり。
◆ 多焦点IOLの先進医療認定:
先進医療に認可され早10年。日本医師会が反対するところの「IOLだけ患者負担とする選定療養(広義の混合診療)」となれるか、完全な自由診療に逆戻りとなるか、あるいは別の新たな指針が出されるか、もうすぐ答えが出る様子。
◆ 三焦点(+トーリック)IOL:
Alcon社の三焦点IOL(PanOptix)が本年2月に承認され、11月頃から使用可能な見通し。
EU圏では三焦点IOLは何年も前から通常に使用されており、当院でも個人輸入で使用中。
やっと認可されたか…というのが正直な印象。
◆ フェムトセカンドレーザー白内障手術:
米国では急増しているが、日本では数%であり増加傾向にはない。2018年4月以降、多焦点IOLの先進医療の材料費として計上は不可。通常の白内障手術と比較しての大きなメリットが証明されておらず、いわゆる「広告」としてのみ機能しているのが現状。
三焦点+EDOF IOL:
ヨーロッパにおいて三焦点+EDOFのIOLが発売予定の様子。それぞれの利点を有し、しかも光学的ロスがさらに減少。今後のプレミアムIOLのメインは三焦点+EDOF+toric IOLとなりそうな予感。

セミナー終了後は市内ぶらぶら&お買い物。蒸し蒸しした梅雨の時期でも相変わらずの賑わい。
行きは勿論、原稿〆切間近にて帰りの車内でもず〜っとパソコンと睨めっこ。
週明けは溜まりに溜まった手術が….Zzzz…。

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ICL 100 万枚突破

先々週:硝子体茎離断術(ERM)〜緑内障手術(インプラント挿入)〜水晶体再建術(EDOFを含む)〜眼瞼下垂手術翼状片切除術〜出張手術(二の宮眼科)
先週:レーシックICL近視矯正PTK水晶体再建術(EDOF・三焦点を含む)〜出張手術(笠間眼科)
今週:レーシック硝子体茎離断術(DR-VH)〜水晶体再建術〜出張手術(鉾田病院)
皆さん経過良好です!

ICL(眼内コンタクトレンズ)は世界75以上の国と地域で承認されており、出荷枚数が累計100万枚を突破したとのこと。つまり、世界で少なくとも50万人以上に移植されたことになります。
当院でのレーシック希望者において「レーシック適応外であればその際は ICLを 希望」する患者が非常に増加しています。ICLを含めた屈折矯正手術の有用性が広く認知されつつある証拠ですね。
近視は世界的に著しく増加しており、2050 年までには世界の人口の50%を越えるとも予測されています。ICL挿入術は件数的にはまだレーシックに及びませんが、今後さらに増加することは間違いないでしょう。

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