投稿者「satoublogadmin」のアーカイブ

抗VEGF薬硝子体注入

血管内皮成長因子(VEGF)は強力な血管形成/新生作用を有し,例えば大けがをした際の皮膚や組織の再生には必要不可欠な物質です。一方,悪性腫瘍などのように,新しい血管が出来てこない方が都合が良い場合もあります。そこで,大腸癌など一部の悪性腫瘍の治療に,このVEGFの作用を強力に阻害する薬が抗癌剤とともに使用されています。
では目ではどうでしょうか。糖尿病などで網膜血管が閉塞し血液が流れにくくなると,「もっと酸素と栄養が欲しいよ〜」という信号が発せられ,眼内のVEGF濃度が上昇し,網膜に新たに血管が生えてきます。一見「めでたしめでたし,これで一安心」のように思えますが,実はこの新生血管は非常にもろいため,血管から液がしみ出しやすく,出血もしやすいのです。そのため,網膜がむくんで(浮腫)視力が低下したり,新生血管の出来る場所によっては眼圧が急上昇して緑内障を合併してしまうこともあります。
だったら,「悪性腫瘍で使用しているVEGF阻害薬と同質の薬を目の中に入れたら効くかも!」ということで,安全性を確認した上で,国内では下記の3剤が使用可能となっています。
各種VEGF阻害薬

AMD;加齢黄斑変性
DME;糖尿病黄斑浮腫
CRVO;網膜中心静脈閉塞症
BRVO;網膜静脈分枝閉塞症
近視性CNV;近視性脈絡膜新生血管

つい先日,糖尿病黄斑浮腫(DME)に対してもルセンティスというお薬が承認され,「網膜の中心に浮腫を引き起こす代表的5疾患すべて」に対し保険適応となりました。
決して安い薬ではありませんが,失明予防に直結する有用な薬の承認は喜ばしい限りですね!

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白内障手術〜IOL縫着術〜硝子体手術〜眼瞼下垂手術

今週金曜は祝日のため,本日午後に手術を行いましたが,内容が盛り沢山でした(^^;)
通常の白内障手術の患者様は全員,当然ですが問題なく終了。
そして,他院からの紹介患者様の,眼内レンズ毛様溝縫着術も行いました。前医での術後2ヵ月間にわたり角膜混濁が消失せず切迫水疱性角膜症といった超難症例でしたが,本日の手術は無事終了しました。
さらに,先週に引き続き今週も硝子体(黄斑前膜)手術がありました。黄斑前膜についてはいずれ詳しく書きたいと思いますが,「見えてはいるけど中心の歪みがゆっくりと進行してきた」という場合は,この病気の可能性もあるので,是非一度網膜専門医を受診することをお勧めします。いずれにせよ予後は良好であり,手術も比較的容易な分類に入りますのでご安心下さい。
最後にラジオ波メスを用いて眼瞼下垂手術を施行し,手術はすべて終了!
そして5時〜外来診療…(^^;)
明日患者さん全員の喜んだ顔を見るのが楽しみです!

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3・11

ちょうど3年の月日が経ちましたが,震災時の記憶は鮮明に残っています。
2011年3月11日午後は出張手術中でした。午後2時30分〜10件の予定で,2件目のちょうど洗眼をしたあと,顕微鏡を覗いていざ手術を始めようとしたその時にぐらっ,と…それから揺れは悪化する一方で,停電となりパニック。慌てて開瞼器を外し,患者さんをガードしつつも,何も出来ない状況でした。一旦揺れが収まった際に暗闇の中で患者さんを全員外へ誘導。出張先のクリニック内を見て唖然…状況がよく把握できませんでした。外に出ると,隣りのコンビニの棚の崩落,信号の停電,道路のうねり,壁の崩落,そして余震…もし手術を行っている真っ最中だったとしたら…本当に不幸中の幸いです。2件目以降の手術はすべて延期とし,再度仕切り直しとなりました。
自宅へ帰るにも常磐道は全線通行止め。停電中の国道6号の大混雑は容易に想像できましたので,一般道の裏道で自宅へ。ラジオにて事の重大性を把握しつつ,帰路途中に一般家屋の損壊・全壊をみて不安な気持ちでしたが,つくば市内へ戻るとなんと信号が普通に…コンビニに電気が!同じ茨城県内でもこんなに違うものかと思いしらされました。
当時勤務していた主病院の被害も甚大でした。壁の崩落は勿論のこと,本館オペ室からは空が垣間見え(本当!),全科すべての入院患者は退院もしくは転院。完成間近の新館にも被害が及び,もはやこれまでか…とも思いましたが,そこからの復興がすごい!3日後には緊急避難的に新館で外来診療を再開し,野戦ベッド上にて抗VEGF薬硝子体注入も施行。その後オペを再開したのは眼科が最初です(もちろん私!)。ガソリン給油が難しいため,他科Dr5名と学生のように乗り合いで凸凹道を通勤した2週間は,今となっては良き思い出です。

あれから3年。今日の同時刻もやはり手術でしたが,勿論何事もなく無事終了。
帰り道に寄ったSAの駐車場は,大型バスで一杯。よくみると,すべてハワイアンズ帰りの高速バス!最近のハワイアンズは増収増益ですごいそうです。
3年という月日が流れている証拠ですね!

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レーシック〜白内障手術〜外眼手術

今週も、レーシック・白内障手術・外眼手術と、手術が沢山ありました。
昨日のお昼休みはレーシック手術でしたが、「見えます〜!」と本日明るく元気な表情で皆さん受診されました。経過良好で何よりです。
今日のお昼休みには、白内障手術8件・眼瞼内反手術1件の計9件の手術を行いました。優秀なスタッフのおかげで手術の流れも非常にスムーズ。明日眼帯を外した後の患者さんの喜ぶ顔を見るのがとても楽しみです!
火曜日は2つのクリニックをハシゴして14件の出張手術でしたので、今週は白内障手術だけで計22件を執刀しましたが、硝子体手術がなかったので比較的楽でした(^^)。
来週は硝子体手術が複数あります。
頑張るぞっ!

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論文

眼症状を呈する全身疾患は多々ありますが、その中でも非常に重要なものとしてベーチェット病が挙げられます。眼内のぶどう膜や網膜の炎症を引き起こし、レミケード(インフリキシマブ)の点滴静注により現在は予後が劇的に改善されましたが、以前は非常に予後不良の病気でした。このベーチェット病と鑑別を要するSweet syndrome(本邦ではsweet病)という稀な全身疾患があります。この病気でも稀に眼症状を呈することがあり、以前その眼所見について海外雑誌に報告したことがありました。下記はその論文の一部です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16141877
RETINA1 RETINA2

 

 

 

 

 

米国のあるDrがこの論文に興味を示し、 「もっと症例を集めて共同報告しませんか?」と以前お誘いがありました。そして先日このDrから「published!」のメールが届きました。
http://www.karger.com/Article/FullText/357729
2年以上の時間を要しましたが、一緒に論文をまとめて投稿し、reviewを無事に通過し、今回の論文掲載に至っています。
海外雑誌に掲載されると、共同研究・総説原稿の依頼など、世界中のDrから様々なお誘いを受けることがあります。日常診療とはかけ離れた世界であるからこそ、非常に面白いですよね〜。
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