投稿者「satoublogadmin」のアーカイブ

論文

眼症状を呈する全身疾患は多々ありますが、その中でも非常に重要なものとしてベーチェット病が挙げられます。眼内のぶどう膜や網膜の炎症を引き起こし、レミケード(インフリキシマブ)の点滴静注により現在は予後が劇的に改善されましたが、以前は非常に予後不良の病気でした。このベーチェット病と鑑別を要するSweet syndrome(本邦ではsweet病)という稀な全身疾患があります。この病気でも稀に眼症状を呈することがあり、以前その眼所見について海外雑誌に報告したことがありました。下記はその論文の一部です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16141877
RETINA1 RETINA2

 

 

 

 

 

米国のあるDrがこの論文に興味を示し、 「もっと症例を集めて共同報告しませんか?」と以前お誘いがありました。そして先日このDrから「published!」のメールが届きました。
http://www.karger.com/Article/FullText/357729
2年以上の時間を要しましたが、一緒に論文をまとめて投稿し、reviewを無事に通過し、今回の論文掲載に至っています。
海外雑誌に掲載されると、共同研究・総説原稿の依頼など、世界中のDrから様々なお誘いを受けることがあります。日常診療とはかけ離れた世界であるからこそ、非常に面白いですよね〜。
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ICL(Implantable Contact Lens)

Visian-ICLICL(Implantable Contact Lens)は、水晶体のある眼にimplantするIOL(phakic IOL)の1つです。角膜と虹彩の間(前房)に挿入するphakic IOLもあります。しかしこのタイプは長期的にみると角膜内皮細胞の減少や眼圧上昇などのリスクがあることは否めず、私は使用しません。
http://www.satouganka.com/icl/
一方、ICLは虹彩と水晶体の間(後房)に挿入するので、そのような心配は皆無であり、度数が変わったとしても容易にICLの交換が可能です。白内障が進行した際には、ICLを摘出して二重焦点眼内レンズを用いた水晶体再建を施行すれば、良好な遠近の裸眼視力を保持できます。ICLは通常の中等度近視のみならず、レーシック適応外(最強度近視・角膜が薄い・角膜形状異常など)の方でも手術を受けることが可能です。
また来月には、中央に微小な貫通孔を有する「hole ICL」が厚労省に認可される予定です。患者さんの負担を減らせるレンズの登場は喜ばしい限りですね。

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花粉症

そろそろスギ花粉が飛び始めているようで、目の痒みを訴える患者さんが増加しています。
アレルギー性結膜炎の点眼薬は非常に多く存在しますが、アレルギー性結膜炎に保険適応のある内服薬はなく、鼻炎のみに対しての適応となります。しかし実際には、点眼と内服をかぶせた方がより効果的です。
朝からぐしゅぐしゅの日はもう一日中ダメですよね〜。
私も典型的な花粉症体質ですが、どちらかというと鼻炎の方がひどいため、すでに予防的に内服を開始しています。目薬も早めに開始すると、その年の症状緩和に非常に効果的です。
毎年花粉症になることがわかっている方は、お早めに点眼(内服)を開始することをお勧めします。
体質はなかなかな治せませんので、なにより予防が重要です!

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レーシック〜白内障手術〜硝子体手術〜斜視手術

今週はレーシック・白内障手術・硝子体手術・斜視手術と、内容が盛り沢山でした。
皆さん経過良好で何よりです!
ありがたいことに2月はもう手術予約が一杯なので、もっと手術日を増やさないといけませんね。

休み時間を削っての手術準備と後片付け、スタッフに感謝感謝ですm(_ _)m。
来週は硝子体手術症例がたくさんありますが、頑張ります!

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強度近視に対する治療選択

前回の続きで、強度近視に対する治療選択の考え方です。
オルソケラトロジーは軽度〜中等度近視に対してまでの適応で、強度近視に対しては適応外ですので、最初から選択肢に入りません。
キーワードは「レーシック・有水晶体眼内レンズ(phakic IOL)・透明水晶体摘出交換(RLE)」です。

基本的にすべて保険外診療となりますが、どれを選択しても間違いではありません。
どれにするかは患者さんの自由ですが、とはいっても患者さんは自分では決められませんよね。
では何で決めるかというと、年齢、近視度数、そして金額、となります。

まず年齢ですが、若い順に、レーシック・phakic IOL・RLE、となります。

逆に度数としては、近視の強い順に、RLE・phakic IOL・レーシック、となります。

金額は、安価な順に、レーシック・RLE・phakic IOL、でしょうか。
以前はレーシックは高額でしたが、今や両眼で10〜20万円です。自由診療の美容形成手術からみると、決して高額ではなく、むしろ非常に安価だと思います。

レーシック適応外の強度近視では、phakic IOLは非常に有用です。
問題は価格ですね。価格を気にしないのであれば、phakic IOLを選択し、老眼が出てきたら二重焦点眼内レンズにてRLEを施行、これは贅沢かつ有用です。
http://www.satouganka.com/icl/
まだ初期のレーシックと同等の価格ですが、今後は徐々に価格が下がってくると考えられます。しかし、価格が下がるにはまだ少し時間がかかりそうです。

どれも有用な術式ですが、近視の患者さんは非常にたくさんおり、強度近視も増加しています。これらの手術を保険適応にしたら国や保険者が破綻してしまうので、今後も保険適応になることはなさそうです。

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