レーシック・ICL(フェイキックIOL)」カテゴリーアーカイブ

プラケニル

今週水曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術
木曜はレーシックPTK・エキシマレーザー角膜混濁除去術。

金曜は水晶体再建術(二焦点を含む)〜眼瞼内反手術。
皆さん経過良好です!

本日はプラケニルの眼合併症について。
プラケニル(ヒドロキシクロロキンHCQ)は、全身性エリテマトーデ ス(SLE) ・皮膚エリテマトーデス(CLE)に対する世界標準的な治療薬です。米国では1955年に承認され、本邦では2015年7月にSLEとCLEに対する適応が承認されています。

抗マラリア薬として使用されたリン酸クロロキン(CQ)の薬害としてクロロキン網膜症があります。典型的なクロロキン網膜症では、黄斑部網膜が萎縮変性し、中心視力が不可逆的に低下してしまいます。CQより発現はまれであるものの、HCQ使用中の患者でも網膜症が一定の割合でみられます。
CQ同様、HCQによる毒性の発生機序はいまだ不明。HCQ累積投与量が200g以下であればほとんど心配ありませんが、200gを超えると網膜症発現率が数%になるとされます。

以上を踏まえ、本邦の眼科診療指針は下記の通り。
◆ プラケニル投与開始後は、少なくとも年1回の頻度で眼科定期検査を実施する。
◆ ハイリスク患者(本剤の累積投与量が200gを超えた患者・高齢者・肝機能障害または腎機能障害患者・視力障害のある患者・SLE 網膜症患者・投与後に眼科検査異常を発現した患者)では、患者の状態に応じて年1回よりも頻回に検査を実施する。

世界70か国以上で使用されているHCQ。米国から遅れること60年….遅すぎの感は否めませんが、日本の安全性に対する慎重さを表しているともいえるでしょう。
網膜症はHCQ投与開始より5〜7年を超えると発現率が高くなるとの報告もあります。本邦では承認されてからまだ1年半ですから、今後も長期的な経過観察が必要です。

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ミケルナ

今週木曜はレーシック
金曜は水晶体再建術(二焦点を含む)〜結膜嚢部分形成術(眼窩脂肪ヘルニア)。

皆さん術後経過良好です!
水曜はレーシックPTK・エキシマレーザー角膜混濁除去術。

木曜は水晶体再建術(二焦点を含む)〜結膜嚢部分形成術(眼窩脂肪ヘルニア)の予定。

昨日は診療後にミケルナ発売記念講演会に出席するため都内へ。

全国から620名余りの眼科医が招待されており、発売記念品・ホテル諸々、メーカー側の期待の高さが窺えました。

これまでにもPG関連薬(ラタノプロスト・タフルプロスト・トロボプロスト)とβ遮断薬(チモロール)の合剤はいくつかありますが、そのβ遮断薬はすべて「チモロール」でした。
ミケルナ配合点眼薬」はPG関連薬(ラタノプロスト)とβ遮断薬(カルテオロール)の合剤で、カルテオロールを用いた合剤(1日1回点眼)はこれがです。さらに防腐剤フリーであることは大きなメリットです。

短期的眼圧下降作用としては、一般的にカルテオロールはチモロールに劣ると考えられています。しかしチモロール長期投与において、徐々に眼圧が上昇してくる症例をしばしば経験します。そのような場合は他の薬剤に変更する必要性が出てきますが、ミケルナは変更薬剤の第1候補といえるでしょう。
また、チモロールの眼表面麻酔作用および防腐剤の影響にて角膜が傷つくことがありましたが、ミケルナではその懸念も払拭されました。
さらに、他のどのPG+β配合点眼薬よりも薬価が安い!
2剤を上手に配合したことにより防腐剤フリーとなり、様々な特許を取得できたとのこと。そのため、双方とも比較的歴史のある薬にもかかわらず、なんと今後15年以上は後発品が出ないそうです。

古くて新しいミケルナ配合点眼薬、おそらくかなりシェアをのばすものと考えます。

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右向け左

昨日は東京国際フォーラムにて開催された眼科手術学会総会へ出席。
興味を持ったシンポジウム「甲状腺眼症に対する外科的治療戦略」について。
バセドウ病など甲状腺疾患に伴う眼症の診断は比較的容易ですが、実際の治療は容易ではありません。一般にはステロイドの全身投与となりますが、全身副作用・再発率ともに高いため、中等度以上の有症状者は(大学病院ではなく)最初から眼窩形成専門病院へ紹介するのが定石ですが…

・上眼瞼後退:ステロイド局所投与は副作用もほとんどなく非常に有用。無効例にはボトックスが有効な場合もあり。それでもダメなら眼瞼挙筋延長術となるが、手術症例数は劇的に減少。
⇒これは簡単にできるので、まずはトライする価値あり!
・眼球突出:眼窩脂肪吸引や眼窩骨削骨などの眼窩減圧術が有用。ただし術後複視や脳脊髄液漏出に注意が必要。
⇒これは局所麻酔では無理….従来通り専門病院にお願いするしかないですね…。
・眼球運動障害による複視:下直筋の肥厚に伴う上転障害がほとんどであり、下直筋の4mm後転術で複視はほぼ解消される。
⇒なぜ4mmと決めてしまっていいのか不明ですが、ほぼこれで問題ないとのこと。これも局所麻酔で簡単にできるので、トライする価値あり!

甲状腺眼症は内科・脳神経外科・形成外科との境界領域であり、決して悪い意味ではありませんが、重箱の隅をつつくような分野です。これを志すDrは、眼科の中でも専門性が殊更高く、尊敬に値します。先見の明を持ちつつ他に惑わされない強い自己認識、とても重要だと感じました。

その他興味を持ったシンポジウムは「戦場の眼科学」。
米軍では2000年から屈折矯正手術を導入し、既に55万人以上の隊員が手術を受けている。多くがLASIK(レーシック)だが、最近ではICLも増加傾向にあるとのこと。
⇒戦場はもとより大災害でも屈折矯正手術の有用性は指摘されており、東日本大震災後はレーシック手術件数が一時増加しました。その時その場で体験しないと実感はわかないかもしれませんが、想像は容易いと思います。

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小正月

今週はレーシック硝子体茎離断術(増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(二焦点・トーリックを含む)〜翼状片切除、と4日連続で手術の予定。頑張ります!

この時期の恒例行事といえばセンター試験。今年も雪のために試験時間変更がちらほらと。
試験当日の大学会場で、問題の配付と回収・開始と終了の号令・受験票チェック(本人確認)・トイレの誘導など、いわゆる試験監督は誰が行っているか、ご存じでしょうか?
正解は、レジデントでも大学院生でも事務職員でもなく、大学教員(講師・准教授・教授)です。ある日突然通知が届き、丸々2日間の拘束が義務付けられ、特別な理由がない限り拒否できません…私も大学在籍時代は隔年で担当していました。
マニュアルが用意されているものの、不測の事態が起こるとその部屋の受験生全員に迷惑がかかるため、監督側も緊張します。試験監督としては完全に素人ですから…(^^;)。

今週末は各地で天気が大荒れでしたが、本日のつくば市は寒いながらも快晴!
朝は小豆粥を食べ、どんど焼きへ出向き、焼き餅をおいしく頂き…

いざ御神籤を…するとこの上ない内容が書かれた大吉!

何ごとも思うように…ほんと? 裏面の教えを肝に銘じましょう!

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レーシック・ICLの国内成績②

新年早々、先週金曜はtoric ICLを用いた近視矯正手術水晶体再建術
本日は自院にて硝子体茎離断術(増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(トーリックを含む)。
うち2例は遠方の紹介元にそのまま逆紹介。これぞ理想的な病診連携だと思います。

2015年のレーシック・ICLの国内成績についての続編です(主なデータのみ抜粋)。
権威あるAJOにて公表されることにより、確固たるエビデンスをもって、本邦における現在の屈折矯正手術の術後成績が非常に優秀であることが明らかとなりました。

A Multicenter Prospective Cohort Study on Refractive Surgery in 15011 Eyes.
Kazutaka Kamiya, MD, PhD, Akihito Igarashi, MD, PhD, Ken Hayashi, MD, PhD, Kazuno Negishi, MD, PhD, Masaki Sato, MD, PhD, Hiroko Bissen-Miyajima, MD, PhD on behalf of the Survey Working Group of the Japanese Society of Cataract and Refractive Surgery.
Am J Ophthalmol 2017;175:159–168.

<術式の内訳
Conventional LASIK(68%)、wavefront-guidedLASIK(9%)、ICL(9%)、ReLEX(6%)、topography-guided LASIK(5%)、その他(3%)
つまり、82%がLASIK!

<術後視力>(以下、術後3ヵ月)
レーシック術後裸眼視力: 1.41
レーシック術後裸眼視力: 1.51

ICL術後裸眼視力: 1.41
ICL術後裸眼視力: 1.62

<精度>
術後裸眼視力の向上率:
LASIK(94%)、ICL(94%)、ReLEX(90%)

術後屈折度の予測性能(±1.0D以内の屈折誤差):
LASIK(96%)、ICL(99%)、ReLEX(97%)

<追加手術>
LASIK:
追加矯正手術(0.46%)、フラップ洗浄(0.79%)

ICL:
追加矯正手術(0.44%)、摘出・交換(1.46%)

<術後合併症>
LASIK:
感染症(0%)、グレア・ハロー(0.38%)、ドライアイ(1.73%)、フラップ皺(0.22%)、DLK(diffuse lamellar keratitis:0.43%)、偏心照射(0.007%)、ケラテクタジア(0%)

ICL:
感染症(0%)、グレア・ハロー(1.46%)、虹彩色素散布(0.88%)、一過性眼圧上昇(0.58%)、白内障(0%)、角膜内皮減少(0%)、緑内障(0%)、網膜剥離(0%)

以上が現在の本邦の屈折矯正手術の術後成績です。
不徳な医療機関はすでに排除されていると考えられ、それ故に非常に良好な術後成績となっているのだと考察します。ちなみに、白内障手術での感染症発生割合は約3,000〜4,000件に1件(0.02〜0.03%)程度です。

屈折矯正手術は、年齢・角膜厚・前房深度などにより、近視・乱視・遠視のすべての患者さんが対象となるわけではありません。手術に対し少しでも不安があれば、納得するまで執刀医から直接しっかりと説明を受けましょう。
屈折矯正手術に限ったことではありませんが、執刀医と信頼関係を構築できれば、安心して手術を受けられることは勿論のこと、必ずや「手術を受けて良かった!」と思えるはずです。

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