レーシック・ICL(フェイキックIOL)」カテゴリーアーカイブ

レーシック・ICLの国内成績

今週はレーシック水晶体再建術
もちろん皆さん問題なく終了です!

さて、国内での屈折矯正手術レーシック・有水晶体眼内レンズ前向き研究の結果がAmerican Journal of OphthalmologyAJO)にて近々に公表されます(In press)。

2015年に国内で施行された15,000眼を超える屈折矯正手術(当院のデータも含む)の総括です。屈折矯正手術においてこれほどの症例数を集めた論文はなく、また成績も非常に良好です。
共著者であるため、詳細はPubMedに掲載された後に書きたいと思います。
AJOからお墨付きを頂けた質の高いエビデンスにより、この論文は今後かなりのインパクトをもって受け入れられることでしょう。

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MLT

今週水曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離・黄斑前膜)〜水晶体再建術
金曜も硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(二焦点・トーリックを含む)。
皆さん経過良好です!

年の瀬は何かと忙しく、久しぶりの更新です。
以前、黄斑浮腫に対するマイクロパルス閾値下レーザーについて書きましたが、本日はマイクロパルスレーザー繊維柱帯形成術MLT:MicroPulse Laser Trabeculoplasty)について。

点眼薬のみでは眼圧下降が不十分な緑内障に対し、濾過手術を行う前に選択的レーザー線維柱帯形成術SLT)が行われる場合があります。
しかしながら、
①専用のレーザー装置が必要(しかも高額)
②線維柱帯を意図的に破壊するため、術後に急激な眼圧上昇を起こす症例もある
③徐々に眼圧が再上昇し、再治療が必要となる場合が多い
などの理由から賛否両論あり、一般的普及には至っておらず、点眼薬で不十分な場合にはすぐに濾過手術が行われることも少なくありません。

一方、MLTは、
①網膜光凝固用のマイクロパルスレーザーと併用可能であり、新たな装置を必要としない
②熱効果であるため、線維柱帯細胞を破壊しない
③眼圧が再上昇しても、何度でも追加施行が可能

濾過手術を上回る効果が得られないのは当然ですが、点眼薬の次の一手としてはいいでしょうね。当院ではTOMEY製IQ577レーザー(マイクロパルスモード搭載)を採用しているので、MLTの効果を早速検証してみたいと思います。

来週はレーシック硝子体茎離断術(糖尿病硝子体出血・黄斑前膜)〜水晶体再建術の予定。
頑張ります!

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4DX

明日水曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離・増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術エキシマレーザー角膜切除術・PTK(顆粒状角膜変性)。
木曜は翼状片切除術眼瞼下垂手術
金曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術(トーリック・二焦点を含む)。

今日は寒かったですね〜。%e7%b4%85%e8%91%89
火曜でしたが久々の完全オフにて、久方ぶりの映画鑑賞。
インフェルノ、とても面白かったです!誠に恥ずかしながら4DX初体験。ちょっとした遊園地に行った気分を味わえ、+1,000円の価値は十分にあると思います。ちょっと昔の話になりますが、土浦にあったネオジオワールドを思い出しました(^^;)。

今週の内眼手術は自院のみで計20件。頑張ります!
佐藤正樹 眼科 つくば ICL
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不可思議なROCK inhibitor

今週はレーシック翼状片切除術眼瞼内反手術水晶体再建術(二焦点・三焦点を含む)。
すべて経過良好です!%e3%83%8f%e3%83%ad%e3%82%a6%e3%82%a3%e3%83%b3

本日はROCK(Rhoキナーゼ)inhibitorについて。
数ある抗緑内障点眼薬のなかでも、ROCK阻害薬であるリパスジル(商品名グラナテック)は最も新しく、2014年11月に薬価収載されました。世界初の作用機序を有する緑内障・高眼圧症治療薬であり、房水流出の主経路である線維柱帯・シュレム管経路組織のRhoキナーゼを阻害することにより、房水流出を促進することで眼圧を下降させます。眼圧を単剤にて約4mmHg、追加投与にて約2mmHg程低下させるとのこと。まだ未知の部分もある薬ですが、私も治験に参加していた経緯があり、今後どのような位置づけになるか期待しているところです。

ROCK阻害剤の1つであるY-27632(実験室レベルでの試薬)は角膜内皮細胞の増殖と接着を促進アポトーシス(細胞死)を抑制することが数年前に報告されていますが、リパスジルにも同様の効果があることが最近明らかとなりました。

角膜内皮細胞の役割は角膜の透明性を維持することにあります。角膜内皮細胞は加齢とともに減少し、自ずと増殖することはありません。遺伝・外傷・手術など種々の原因により内皮細胞が著しく減少すると、角膜は浮腫や混濁をきたします(水疱性角膜症)。これまでの水疱性角膜症の一般的治療は角膜移植のみですが、ROCK阻害剤の登場により、定石が覆されようとしています。

水疱性角膜症に対する新しい治療法は、培養角膜内皮細胞をROCK阻害薬とともに前房内注入し、術後数時間うつ向き姿勢を行うだけ。報告では0.04から1.0に回復した症例もあり、合併症はないとのこと。本人のiPS細胞から内皮細胞を作成すれば拒絶反応も皆無となるはずです。まだ限られた施設で実験的に行われている治療法ですが、いずれメジャーになるものと確信しています。

リパスジルは試薬ではなく、すでに市販されている抗緑内障点眼薬です。水疱性角膜症ではないものの角膜内皮が高度に減少している症例などには継続点眼が有効かも?…前房内注入ではなく点眼となると効果はかなり減弱すると考えられ、また現時点では長期データが存在せず、実際の有効性は全く不明です。しかし、微力ながらも「継続は力なり」と思われ、永続的点眼は有用であろうと個人的には期待しています。

水疱性角膜症に角膜移植?そんな時代もあったねえ〜…近未来からそんな声が聞こえてきそうです。
佐藤正樹 眼科 つくば ICL
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0.01%アトロピン点眼薬のジレンマ

今週はレーシック水晶体再建術(トーリック・二焦点を含む)を施行し、皆さん経過良好です!

以前「有用な近視進行抑制法は?」と「0.01%アトロピン点眼」にて子供の近視進行抑制について書きました。0.01%アトロピン点眼は、海外のデータでは近視の進行を平均60%軽減させるとのことなので、同効果が約30%のオルソケラトロジーと比較するとさらに強い近視進行抑制効果があるのは確かです。国内臨床試験が進行中であるものの、まだ未承認の薬剤です。
二重盲検(プラセボ・実薬のいずれかに無作為に割り振られ、2年間の観察期間終了までどちらなのか不明)、および眼科検査費用は通常の保険診療(患者側負担)とのこと。なかなかエントリーが進まず予定が大分遅れているようですが、その理由は明白でしょうか…

薬価については、1%アトロピンが1本(5mL)150円弱。濃度が低くなるだけのなので、承認後の薬価は非常に安価であることには間違いなく、さらに保険診療での自己負担分のみとなります。保険収載されれば爆発的に処方が増えるでしょうが、製薬会社の収益の観点からは、ほぼボランティアでの参入となるでしょう。
一方、現在の輸入処方の平均価格は1本(5mL)およそ3千円くらいでしょうか。およそ20倍強の薬価であり、そして100%自費です。医師の裁量の下での個人輸入(実務は代理店が行います)、そして自由診療であるため、どうしても高額になってしまいます。

未承認にもかかわらず、最近低濃度アトロピン点眼は有用との認知が広まり、投薬が可能なクリニックが全国的に増えているようです。都内では「マイオピン®の処方は可能ですか?」とのクリニックへの問い合わせが増えているとのこと。やはり対象が学童だからでしょうね。子供のこととなると少々高額でも何とかしてあげたいと思うのが親の常ですが、ママとも連絡網も大きく貢献しているはずです(^^;)。

国内臨床試験はまだ症例エントリー中ですから、仮に良い結果が出たとしても、承認までには数年を要します。このまま保険収載を待っていると、未承認点眼薬が世にあふれ、収拾がつかなくなりかねません。
かといって安全性を蔑ろには出来ません。健康な学童に対する副交感神経遮断薬の処方ですから、何か起きてからでは大事です。投薬には非常にナーバスとなって然るべきです。
古いけど新しい、有効性と経済性、安全性と承認スピード、色々と悩ましい点眼薬です。
佐藤正樹 眼科 つくば ICL
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