昨夜は「緑内障の臨床(一般検査〜MIGSまで)」と題した依頼講演を行ってきました。そのなかでも少し触れましたが、shunt deviceを用いたMIGS(micro-invasive glaucoma surgery)は今後の緑内障手術の主流となり得るものです。2014年のASCRS Binkhorst lecture(栄誉ある指名講演)は、カナダのIke K. Ahmed先生によるMIGSに関する講演であり、その注目の高さがうかがえます。
日本で認可が得られているdeviceとしては、Ex-PRESSとTrabectomeがあります。特にEx-PRESSは、虹彩切除に伴う出血や術中/術後早期の低眼圧を防止する目的として非常に有用なdeviceです。2002年にFDAで承認され、本邦では2012年に厚労省で認可されましたが、米国とは実に10年の較差があります。
供覧の画像は、開放隅角緑内障と黄斑前膜の合併症例に対して私が執刀した硝子体手術とEx-PRESS挿入の同時手術の術中所見です。術後2年以上経ちますが、眼圧/眼底ともに経過は非常に良好です。
欧米ではさらに多くのshunt deviceが存在します。パッと出てはすぐに消えるものも多く存在しますが、Microcatheterを補助的に用いてシュレム管を拡大させるCanaloplasty、脈絡膜上腔へ挿入しuveoscleral flowを増加させる純金製のGold Shuntやポリイミド製のCyPass、そしてシュレム管に挿入するチタン製のiStentなどが今後期待されるdeviceといえます。
特に注目すべきはこのiStent。全長が約1mmという世界最小のshunt deviceであり、injectorに最初からpreloadされているため、リリースも容易です。複数個の挿入も可能であり、挿入数に比例した眼圧下降効果が得られます。2012年にFDAでの承認を得ており、非常にsimpleな手術操作が高く評価され、今後world wideで使用されることは確実です。
ただし、Ex-PRESSにおけるFDAと厚労省承認との差を考慮すると、iStentを国内で使用できるのは最短でも数年先でしょうか…できるだけ早急な国内承認が期待されます。
講演後は順鮨にて懇親会。とっても美味しくお勧めのお寿司屋さんです。
先週・今週は、斜視手術〜レーシック〜白内障手術〜眼瞼下垂手術。頑張ります!
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