白内障手術」カテゴリーアーカイブ

エキシマレーザーによる治療的角膜切除術(PTK)

本日は、エキシマレーザーによる治療的角膜切除術Phototherapeutic KeratectomyPTK)について。
PTKとは、何らかの原因による眼の表面(角膜)の混濁に対し、エキシマレーザーを照射することで、角膜の表層から実質の一部を切除する手術のことです。角膜の濁りをすべて除去するわけではなく、視力に影響している部位の混濁を除去します。裸眼視力を良くするための治療ではなく、矯正視力の向上を目的とします。不正乱視が残る場合、レーザー屈折矯正手術の追加が必要になる場合もあります。
重篤な術後合併症はありませんが、レーザーで角膜上皮を剥離するため、術後に痛みがあります。よって上皮が再生されるまでの約1週間は、PRKと同様にコンタクトレンズを装着します。
下記に実例を供覧します。

帯状角膜変性①の術前と術翌日
PTK左ー術前PTK左ー1POD

帯状角膜変性②の術前と術翌日
PTK右ー術前 PTK右ー1POD2

劇的に改善しているのが一目瞭然ですね。エキシマレーザーを有している当院ならではの治療といえます!

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3焦点眼内レンズ(Trifocal IOL)

今週はレーシック〜眼瞼下垂手術〜白内障手術〜硝子体手術と多岐にわたり執刀しましたが、皆さん非常に経過良好で何よりです。

本日は最新の眼内レンズ(IOL)について。先進医療適応の白内障手術で用いられるIOLは、正確に言えば2重焦点(遠方と近方)のIOLです。実際にさほど自覚する方は多くありませんが、理論上は中間距離(2~3m先)はぼやけて見えることになります。
IOLの特性上、焦点を増やせばそれだけエネルギーロスとなり、つまりはコントラスト感度が低下することになります。近年、エネルギーロスが現行の2重焦点IOLと同等であるにもかかわらず中間距離の視力も良好な3焦点IOL(Trifocal IOL)がヨーロッパで発売され、日本でも広まりつつあります(Finevision, physIOL社)。FineVision_large
JSCRS総会でのこのIOLに関するセミナー会場はほぼ満席であり、注目度の高さが窺えます。

術後炎症惹起の問題にて、国内で最も使用されていたAlcon社製ReSTOR(レストア)は2015年4月中旬以降使用不可の状況です。そのため、厚労省未承認にもかかわらず、このような他の多焦点IOLにさらなる注目が集まっています。

日本で承認されている乱視矯正機能付き多焦点IOL(多焦点トーリックIOL)は、唯一ReSTOR Toric(レストアトーリック)だけです。よって乱視矯正も必要で多焦点IOLを希望の患者さんには、現状では未認可のIOLを海外から輸入することになります。このFinevisionにはトーリックIOLもline upされており、患者満足度も非常に優れているようなので、当院でも近々に使用開始することにしました。ご報告まで!

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JSCRS総会

先週金曜から3日間、東京国際フォーラムにて第30回JSCRS学術総会が開催されました。
初日午後はオープンフォーラムでの講演を担当し、日本と欧米との白内障屈折矯正手術の現状の相違について、壇上にて約1時間のdiscussion。
英語でのスライド準備が大変でしたが、ASCRS・ESCRSのpresidentと一緒に登壇できることはこの上なく光栄に感じています。

夜は会長招宴(closed faculty dinner)に招待頂き出席を。大学同窓の先輩にもお会いできて、有意義な時間を過ごせました。
医療は日々進化しており、1年前のトレンドはもうすでに過去のものです。常に自ら切磋琢磨しなければいけません。面白い内容の発表もありましたが、詳細はまた後日に。

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第30回JSCRS学術総会

最近殊に忙しく、久々のブログ更新です。
来週末の6/19〜6/21に、東京国際フォーラムにて第30回JSCRS学術総会が開催されます。

2015JSCRS サトウ1

外来や手術の合間での学会準備のため、なかなか辛いものがありますね〜(^^;)。
学会での詳細はまた後日報告させて頂きます。

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緑内障発作予防としての白内障手術

今週は4日連続手術。内容も外眼・緑内障濾過手術レーシック白内障手術と多岐にわたりちょっと疲れましたが、皆さん術後経過良好で何よりです!

さて本日は、緑内障発作の治療について。
角膜裏面と水晶体前面の空間を「前房」といいますが、この前房の深さにはかなりの個人差があります。一般に、近視が強い場合は深く、遠視が強い場合は浅い傾向があります。元々前房が浅い(隅角が狭い)方が、感情的ストレス・低照明下での近見作業・服薬などにて軽度の散瞳状態となり、眼圧が急激に上昇する場合(急性緑内障発作)があります。スライド1

発作を起こすと、激しい眼痛・頭痛・視力低下・吐き気・嘔吐などの症状を呈し、夜間救急外来を受診するケースもよく見受けられます。受診せずにそのまま放置すると、永続的な視力障害を呈する場合も少なくありません。

スライド2

緑内障発作が明らかな場合、すぐに眼圧を下げるために、投薬を併用しつつ非観血的レーザー虹彩切開術を早急に施行します。
片眼に発作を起こした場合、非発作のもう片眼(僚眼)は発作予防のために同レーザー施術を施します。

スライド3

 

近年では、このレーザー施術の代わりに、少なくとも非発作眼では、白内障手術(水晶体再建術)を第一選択とすることも一般的になりつつあります。厚い水晶体を薄い眼内レンズに交換することで前房が深くなり、発作が解除あるいは予防可能となります。
将来的な白内障手術の時期を早めることで緑内障発作も予防可能となるため、まさに一石二鳥といえるでしょう。

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