緑内障」カテゴリーアーカイブ

iDose

先週火曜は出張白内障手術(笠間眼科)。
水木で睫毛内反手術(埋没法)〜眼瞼内反手術(眼輪筋縫縮)〜水晶体再建術(多焦点を含む)。
今週火曜は出張白内障手術(二の宮眼科)。
水金で硝子体茎離断術(RRD・PDR)〜水晶体再建術(LASIK後・多焦点を含む)〜翼状片切除術。
いずれも経過良好です。

週末はミケルナ発売1周年記念講演会出席のため虎ノ門ヒルズ、そして御殿山へ。

講演会のclosing remarkでも眼内DDSに関してほんの少しだけ触れられていましたが、iStent(Glaukos社)がシュレム管に挿入するshunt deviceであるのに対し、iDoseは繊維柱帯に固定する薬剤徐放device(1.8mm×0.5mm)です。
本日はこのiDose(injectable drug delivery implant・同社)について。

内部にreserseされたトラボプロスト(緑内障点眼薬のPG製剤)がゆっくりと徐放される仕組み。米国のphase Ⅱ trialでは、1年間の経過観察において30%眼圧下降の継続を示し、古くからある緑内障点眼薬のチモロール(β遮断薬)連日点眼に対し非劣性との報告。
つまり「最低1年間は点眼薬を減らすことが可能」となるわけです(実際にはもっと長期間有効)。毎日必ず同じ時間に点眼を継続することは患者さんにとって負担が大きく、数年毎の入れ替え手術の必要性を考慮しても、特にアドヒアランス不良の症例にとっては利点が上回ると考えられます。
数年内にFDAで認可されると考えられ、となれば国内でもすぐに認可されることでしょう。

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手術学会@京都

先週火曜は出張白内障手術(笠間眼科)。
木金曜は緑内障手術(線維柱帯切除術)〜水晶体再建術(EDOF・トーリックを含む)。
今週火曜は出張白内障手術(鉾田病院)。
水曜はレーシック硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術眼瞼下垂手術。
木曜は硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(トーリックを含む)。

今週末は第41回眼科手術学会総会出席にて京都へ。
今週は関東でも雪。1月の京都ですから覚悟はしていましたが、やはり寒いっ…。

眼科手術学会は眼科手術全般のup to dateな話題を提供してくれる由緒正しき学会です。昨今の日眼との政治闘争にてここ数年は出席者が減少傾向にあり、今回もやや空いていました。日眼や臨眼は激混みすぎて、立ち見してまで拝聴するほどの内容じゃなかったなあ…と後で思ったりすることもしばしば。
体は1つしかないので、1日で吸収できる量は所詮決まってます。ちょっと空いていた方が疲れないので、私的意見としてはむしろこのくらいの方がちょうどいいかも(^^;)。

興味深かった内容の一部について。

iStent:
・徐々に広まりつつあるものの、当初の予定よりあまり普及していない。暫定的な保険点数の影響もあり、2018年度の保険診療点数改定にて正規の点数が加わる見込み。
・ Hookによる繊維柱帯切開術と比較し、術後眼圧降下が不良との報告あり。ただし、術翌日の前房出血などの合併症がないのは非常に有利な点。長期的にゆっくりと眼圧降下が得られてくる症例もある。

上眼瞼形成術:
・ 眼瞼皮膚弛緩症手術の際、通常の眼瞼縁切開では外側にやや弛みが残るが、重瞼となるため傷跡の瘢痕は問題ない。眉毛下切開では外側の弛みは残りにくいが、傷跡の瘢痕が目立つことも多く要注意。
・ 瞼の浮腫みの原因は筋肉の脂肪変性。治療は眼輪筋前後面の脂肪を剥離除去。
・ 眉毛下垂(顔面神経麻痺後)では眉毛上皮膚切除が有効だが、眼窩上神経内側の浅層枝の損傷に要注意。

黄斑円孔でのInverted ILM Flap Technique(内境界膜翻転法):
・ 非閉鎖黄斑円孔に対する再手術時にILM free flapを一時留置させる手段として、ビスコートの網膜面塗布は有効。円孔に埋め込んだら、PFCLにて延ばすとさらに有効。
・ 水晶体前囊・後囊の自己移植は、将来的に水晶体上皮細胞増殖の可能性から、推奨されない。
・ ILMでなく、円孔底に対する網膜自己移植の臨床研究も進行中だが、長期予後は全く不明。

EDOFについての詳細はまた明日。

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多焦点 ICL (with EDOF optic)

先週金曜は硝子体茎離断術(黄斑前膜症例・増殖糖尿病網膜症症例)〜水晶体再建術(レーシック後を含む)。
今週火曜は出張白内障手術(二の宮眼科)。
水曜はレーシック
木曜は硝子体茎離断術(黄斑前膜)& 緑内障手術エクスプレス挿入)の同時手術水晶体再建術(トーリックを含む)。
皆さん経過良好です!

本日は最新の多焦点型 ICLPresbyopic EVO+ Visian ICL with EDOF opticについて。

2016年9月に従来型ICLと比較し光学部がより大きく再設計されたEVO+ Visian ICLが本邦でも発売開始となり、良好なコントラスト感度・夜間視力(ハロ・グレアの改善)により、当院においても高い患者満足度が得られています。
一方、ある程度の年齢を過ぎれば、遠用眼鏡・コンタクト・レーシック・ICL・オルソケラトロジーなどすべての近視矯正手技において、近方視力低下(調節機能低下・老視)は避けられません。

この老視矯正機能を付加した新しいICLが、2017年5月に市販前承認CEマークを取得しています。
現時点での実施症例が海外の一部地域のみにて詳細の言及は不可能ですが、通常の回折型二焦点ではなくEDOF(extended depth of focus)タイプなので、ハロ・グレアやコントラスト感度低下などの可能性は低いと考えられます。
EDOF型ICLにて近視を矯正し、年齢的に白内障が進行してきた際には、EDOF型IOL(シンフォニーなど)もしくは三焦点IOL(Finevision POD Fなど)を用いた水晶体再建を受ける。そうすれば、若年〜中高年〜老年期まで完全眼鏡不要の快適ライフを過ごせる、というわけです。

最も気になる点は、現行ICLとの年齢的な境界、でしょうか。
40歳以上の調節機能が衰えはじめている症例にはEDOF型ICLは良い適応と考えます。では、まだ調節機能がある20代では、現行のICL?それともEDOF型ICLでよい?
現行ICLの長期データが非常に優れていることは明白なので、近方視力や上記疑問点を含めたデータが追加公表されれば、近い将来に国内でも承認されることは間違いないでしょう。

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開院4周年

今週木曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術(トーリックを含む)。
金曜は硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(トーリックを含む)。
皆さん経過良好です。

秋晴れの本日は開院4周年記念日!
昨日9月末で診察券番号29139を発行しました。開院後4年間で3万人近くの新規患者様が来院されたことになります。受診されたすべての患者様、そしてスタッフに日々感謝です。

明日からも引き続き、プレミアム白内障手術硝子体手術(MIVS)レーシックICL手術緑内障手術(MIGS)眼瞼下垂手術斜視手術抗VEGF療法オルソケラトロジーなどなど、最先端かつ最良のテーラーメイド医療を提供し続けます!

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AI

今週はレーシック硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(多焦点を含む)。
皆さん経過良好です!

週末は日眼総会に出席のため国際フォーラムへ。
しかし学会参加は副目的であり、主目的はJSCRS会合および理事会でのご挨拶、そして明日も会合…忙しい…。

今回も器械展示会場は盛況。
AI人工知能)テクロノロジーは、チェスや将棋の世界のみならず、医療分野でも著しい進歩を遂げています。眼科領域においても、円錐角膜診断・オルソケラトロジー適応判定などでは、確率を%で表示してくれるAI診断技術は必須です。すでに日常臨床で広く実用化されており、自院でも大変お世話になっています。
最新のアイトラッキング機能付きのネビゲーション網膜レーザーも然り。医師は足でペダルを踏むだけ…眼科医不要では?と思えるほど簡単…(^^;)。価格は大分下がり定価で2,000万弱…いやいやまだ高い!相変わらず眼科手術機器はどれもこれも高額ですね〜。

時は20XX年….必ずそうなるであろうと予想される、近未来の眼科診療です。
1)法令推奨の年1回定期眼科検診。
ロボット受付嬢による自動受付。患者は検査機器台に顎をのせるだけ。全自動での屈折・眼圧検査および全眼球三次元撮影。緑内障・黄斑変性のリスクなどがフルオート解析。
低リスク判定➡診察なしで(人間に会わずに)帰宅。
高リスク判定➡Dr診察➡投薬。

2)緑内障の経過観察。
眼圧モニタリングコンタクトレンズ(スマートコンタクト)装用、もしくはモバイルデジタルトノメーターでの自己眼圧チェックが一般化。眼圧日内変動データを持参のうえ定期受診。これまでの検査データ(眼圧・網膜神経線維層厚・視野MD値など)により、進行リスクのみならず点眼薬変更の是非などもすべてAIが示唆。
このように、眼科慢性疾患(正常眼圧緑内障など)における眼科医による定期診察の必要性は間違いなく低下します。

人は必ず忘れますが、AIにはそれがありません。よって、過去の論文データをインプットさせれば、診断能力において人がAIに勝てるはずがありません。現に、東大の人工知能「ワトソン」の前ではひれ伏すのみ…。AIの進歩が社会に大きく貢献することは明白ですが、眼科のみならず、手術治療を行わない医師にとっては死活問題となるでしょう。

詰まるところ、いつの時代でも自己研鑽に励むのみ、ということなのでしょうね。

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